「今日は身体が重いです」「肩に少し違和感があります」「疲労が抜けていません」。
違和感があるとき、練習を続けるのか、休むのか。
私は、ここを選手の我慢強さで決めてほしくありません。
判断するときに見るポイントを整理します。
違和感は、疲労や張りと同じように扱ってよいのか
痛みや明らかな違和感は、疲労感や張りと同じようには扱いません。
ここは非常に重要です。
「疲れているだけだから」「アップすれば治るから」と決めつけて負荷を続けることはしません。
特に投手では、肩や肘の違和感を本人が言える環境が必要です。
本人がいつもと違うと感じているのであれば、その情報をまず受け取る。
必要であれば投球を止める。
トレーナーに確認する。
さらに必要であれば医療スタッフにつなげる。
「休むかどうか」を選手の我慢強さで決めないことです。
続けるか休むかを判断するとき、何を見るのか
まず事実を確認します。
いきなり、「投げられるのか、投げられないのか」だけを聞くのではありません。
確認するのは、次の5つです。
- いつからなのか
- 何をした後なのか
- 昨日と今日でどう変化したのか
- 動かすとどうなのか
- 本人はいつもと何が違うと感じているのか
同じ「疲れた」でも対応は変わります。
ウォーミングアップ後に身体が動き、問題なく練習できる疲労なのか。
負荷を下げた方がいい状態なのか。
医療的な確認が必要な違和感なのか。
選択肢は「続ける」と「休む」の二つなのか
二つだけではありません。
コンディションが悪いからといって、必ずすべて休む必要があるわけではありません。
選択肢は、次の6つです。
- 通常通り行う
- 練習量を減らす
- 強度を調整する
- 内容を変える
- 治療やコンディショニングを中心にする
- 休養する
大切なのは、「今日の状態なら、何をやることが一番プラスになるのか」を判断することです。
今の状態と、これから必要なパフォーマンスを考えて決めます。
選手は、違和感をいつ、どう伝えるのか
小さな変化ほど早い段階で、自分の状態と理由を伝えます。
私が作りたいのは、選手が毎日、「今日休んでいいですか?」と指導者に判断を丸投げするチームではありません。
例えば、「昨日80球投げて、今朝はいつもより肩の張りがあります。ウォーミングアップ後も少し残っているので、今日は投球を減らしてコンディショニングをしたいです」と、自分の状態と理由を説明できる。
ここまでできれば、指導者も判断しやすくなります。
情報は、伝えるタイミングも重要です。
練習がすべて終わったあとに、「実は朝から肩が痛かったです」と分かっても、その日の負荷はすでにかかっています。
だから私は、小さな変化ほど早い段階で共有できることが重要だと考えています。
伝えると試合から外される、という不安はどう考えればよいのか
疲労や違和感を隠すことと、必要な場面で頑張ることは別です。
大会になると、選手は試合に出たいと思います。
特にレギュラーやエースであれば、「ここで言ったら外される」「チームに迷惑をかける」と考えて、違和感を隠すことがあります。
伝えた瞬間に試合から外される。
伝えたことで評価が下がる。
そう感じる環境なら、本当に必要な情報ほど上がってこなくなります。
選手には、自分の身体の状態を正しく伝える責任があります。
指導者には、その情報を受け取って判断する責任があります。
痛みがあってもプレーを続けるよう促される経験については、米国の調査の報告があります。
2015年に学術誌 American Journal of Sports Medicine に載った調査(Makhni ら)は、米国の健康な少年野球選手203人に、腕の痛みについて質問紙で尋ねました。
同じ調査の対象は、ニュージャージー州とニューヨーク州の選手です。
同じ調査では、腕に痛みがあるのにプレーを続けるよう促された経験が少なくとも1回あると答えた選手が、46%でした。


