ストレッチやマッサージのことなのか

ストレッチやマッサージは、コンディショニングの一部です。ただし、それだけを指す言葉ではありません。 選手の状態は、身体を触って整える作業だけで決まるものではないからです。

コンディショニングに関係する要素には、次のようなものがあります。

筋力 力を出す能力。ウェイトトレーニングなどで確かめる
柔軟性 関節が動く範囲。左右差も合わせて見る
神経筋機能 神経から筋肉へ指令が伝わり、動きとして出る働き
栄養 練習と回復を支える、食事と水分
睡眠 時間の長さと、眠りの質の両方
疲労 たまっている度合いと、抜けていく速さ
心理状態 緊張、集中、気分の浮き沈み

これらは互いに影響し合います。どれか一つを整えれば十分、という性質のものではありません。

「能力があること」と「能力を発揮できること」の違い

コンディショニングを考えるうえで分けておきたいのが、能力を持っていることと、 その能力を試合で発揮できることの違いです。

たとえば、スクワットで200kgを挙げられる選手がいたとします。 その筋力が、試合の場面でそのまま使えるとは限りません。 また、十分な能力を持っている選手でも、疲労や睡眠不足があれば、パフォーマンスが下がることがあります。

「能力があること」と
「能力を発揮できること」は、分けて見る。

コンディショニングが扱うのは、この「持っているもの」と「出せるもの」のあいだにある差です。 差を小さくし、必要な日に必要な形で力を出せるようにしていく。そのための取り組みだと言えます。

状態を知るために、何を測るのか

選手の状態は、一つの数字で決まるものではありません。 そのため測定の現場では、性質の異なる項目を組み合わせて確認します。

測定項目主に見ているもの
体組成(InBodyなど)筋肉量や体脂肪など、身体の構成
CMJ(カウンタームーブメントジャンプ)反動を使ったときの跳躍の高さ
スクワットジャンプ反動を使わない状態での跳躍の高さ
VBT(挙上速度)同じ重さを挙げるときの速さ

※いずれも身体能力の一面を示すもので、競技力そのものを表す数値ではありません。

数値が良くなれば、パフォーマンスも上がるのか

ある測定現場では、一人の投手のCMJの跳躍高が、62.9cmから67.7cmへ変化した記録があります。

これは、跳躍能力という一つの指標が改善したことを示すものです。 ただし、それだけで球速の向上や障害予防の効果が証明されたわけではありません。 測定値の変化と、競技成績の変化は、別のものとして扱う必要があります。

一つの数値が上がったことを、そのまま「良くなった」と読み替えてしまうと、 本当に必要な調整を見落とすことがあります。

測定の結果は、何と照らし合わせるのか

数値だけを見ても、なぜそうなったのかは分かりません。 測定結果は、次の三つと照らし合わせて初めて意味を持ちます。

01 本人の感覚 調子をどう感じているか
02 競技パフォーマンス 試合や練習で、実際に出せているか
03 その期間の練習内容 何を、どれだけ行ってきたか

数値が上がったのに本人の感覚が悪いのであれば、その理由を探す必要があります。 数値が変わらなくても、練習内容が大きく変わっていたのなら、読み方も変わります。

コンディショニングとは、身体を単に整えることではありません。 競技に必要な能力を発揮できる状態を、継続的につくっていくことだと考えられます。

NOTE

本稿は、コンディショニングという言葉の意味と考え方を整理した解説記事です。 特定の方法やサービスの効果を示すものではありません。 痛みや体調に関する判断は、医療従事者にご相談ください。